成長・発達・栄養
毎日確認シート
数値と月齢の暗記で"確定得点"になる分野。Kaup計算・発達マイルストーン・原始反射・栄養欠乏は毎年出る。難しい内分泌の精査は捨て、「指標の式」「月齢の数字」「欠乏症の一撃像」で易+標準を全部取るのが7割戦略。
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毎朝ここだけ音読(4つの地雷)
- Kaup指数=体重(g)÷身長(cm)²×10=BMIと同じ数字(乳幼児用)。数値だけ変えて毎年出題。正常値は年齢で動く=BMIは1歳17→5〜6歳で最低15→再上昇(adiposity
rebound)。「一律◯◯が正常」は誤り。
- 母乳はビタミンKと鉄が少ない →
新生児/乳児ビタミンK欠乏(頭蓋内出血) と
生後6ヶ月以降の鉄欠乏性貧血。予防=ケイツーシロップを「生後3ヶ月まで毎週」(日本小児科学会2021提言。旧3回法から更新)。初乳=IgAが豊富。
- 原始反射は生後4〜6ヶ月で"消失"、パラシュート反射は8〜9ヶ月で"出現"(向きが逆の引っかけ)。独歩18ヶ月未達=赤旗。原始反射の遺残=脳性麻痺を疑う。
- 牛乳は1歳未満に与えない(鉄欠乏=牛乳貧血・微量消化管出血)。離乳は5〜6ヶ月開始・12〜18ヶ月完了(授乳・離乳の支援ガイド2019)。
1. 成長評価の指標
★毎年(計算で確定1点)
| 指標 |
式 |
対象 |
判定 |
| Kaup |
体重(g)÷身長(cm)²×10(=BMI相当) |
乳幼児 |
標準15〜18(月齢で変動)/<13やせ・>20肥満 |
| ローレル |
体重(kg)÷身長(cm)³×10⁷ |
学童 |
≧160肥満(設問実績は乏しい=低優先) |
| 肥満度 |
(実測−標準体重)÷標準体重×100% |
幼児・学童 |
幼児≧+15%/学童≧+20%で肥満 |
- Kaup≡BMI:例)身長65cm・体重8kg →
8000/65²×10=18.9(=8/0.65²)。
- 混同ひっかけ=「乳幼児にローレル」「学童にKaup」を逆にする選択肢。
2. 身体発育の目安(数字セット)
- 体重:出生3kg → 3〜4ヶ月で2倍(6kg)
→ 1歳で3倍(9kg) → 2〜2.5歳で4倍。
- 身長:出生50cm → 1歳で1.5倍(75cm)
→ 4歳で2倍(100cm)。
- 頭囲/胸囲:出生時は頭囲>胸囲 →
1歳でほぼ等しく、以降 胸囲>頭囲。
- 大泉門:出生時2〜3cm →
1歳半〜2歳で閉鎖。閉鎖遅延=甲状腺機能低下・くる病・水頭症/早期閉鎖=小頭症。小泉門は生後まもなく閉鎖。
- 乳歯:6〜8ヶ月萌出 → 2〜3歳で20本。
歯の萌出と齲蝕 ★
|
萌出開始 |
生えそろう |
本数 |
| 乳歯 |
生後6か月(下顎乳中切歯から) |
2歳半〜3歳 |
20本 |
| 永久歯 |
6歳(第一大臼歯=6歳臼歯・下顎中切歯) |
10〜14歳 |
28本(+智歯で32本) |
- 智歯(第三大臼歯)は16〜30歳。4本すべて生えそろわないこともある。
- 齲蝕の好発=臼歯(特に第一大臼歯の咬合面の裂溝)。下顎前歯は唾液腺開口部に近く最もできにくい。「小児の齲歯は切歯にできやすい」は誤り。
- 例外=哺乳瓶う蝕(nursing
caries)は上顎前歯部に多発(哺乳瓶を持たせたまま寝かせる)。下顎前歯は舌と唾液に守られ免れる
── この非対称パターンが診断のヒント。
- エナメル質形成不全は齲蝕リスクが高い(石灰化・厚みが不十分)。原因=遺伝性(amelogenesis
imperfecta)・周産期障害・局所感染(Turner歯)・フッ素症・MIH。
- 予防=フッ化物歯面塗布/フッ化物配合歯磨剤/シーラント(第一大臼歯の裂溝)/寝かしつけに哺乳瓶を使わない。
- 矯正歯科治療が保険適用になる3条件(制度問題としても出る):①厚労省指定の先天疾患(唇顎口蓋裂・ダウン症候群・Marfan症候群・鎖骨頭蓋異形成症など約60疾患)
②顎変形症(顎離断手術を伴う外科矯正)
③前歯部3歯以上の永久歯萌出不全。それ以外の一般的な歯列矯正は自費。
固定句「6か月で生え始め、6歳で6歳臼歯」。⚠️
誤り肢は**「6か月」と「6歳」の単位すり替え**、および萌出"開始"と"完了"のすり替えで作られる。
3. 発達マイルストーン ★毎年
| 領域 |
到達と時期 |
| 粗大運動 |
定頸3-4m・寝返り5-6m・ひとり座り7-8m・つかまり立ち8-9m・つたい歩き10-11m・独歩12-15m(18m未達=赤旗)・走る2y |
| 微細運動 |
追視1-2m・つかむ4m・持ち替え6m・pincer(母指対立つまみ)9-10m・積木2個15m/6個2y/8個2.5y・描画
○3歳/+4歳/□4-5歳/△5-6歳 |
| 言語・社会 |
喃語6m・有意味語1歳・2語文2歳・指さし・共同注意(1歳半でM-CHAT) |
3.5
レッドフラッグ(この月齢でできなければ精査)★頻出・マイルストーンの裏返し
「正常なのはどれか」の裏で**「この所見は精査が必要か」**として問われる。到達時期の暗記と対で持つ。
| 到達していない |
精査ラインの月齢 |
| 首がすわらない |
5か月 |
| 寝返りをしない |
7〜8か月 |
| ひとり座りができない |
9〜10か月 |
| つかまり立ちができない |
12か月 |
| 独歩しない |
18か月 |
| 有意語が出ない |
18か月 |
| 指さし・共同注意がない |
1歳半(M-CHATの対象) |
| 二語文が出ない |
2歳半 |
月齢に関係なく即精査
- いったん獲得した能力の喪失(退行) ──
変性疾患・てんかん性脳症・Rett症候群。マイルストーンの「遅れ」より重い。
- 原始反射の遺残(Moro・ATNR・手掌把握が生後6か月を超えて残る)=脳性麻痺など。
- パラシュート反射が10か月で出ない(出現すべき反射が出ない側の異常)。
- 1歳未満で手の優位性(利き手)が確立 =
反対側の片麻痺を疑う。
※
早産児は修正月齢で評価する(おおむね2歳まで)。これを補正せずに「発達遅滞」と判定しない。
4.
原始反射(出現と消失がカギ)★
| 反射 |
出現 → 消失 |
| 自動歩行(stepping) |
出生時 → 2か月で消失(最も早い) |
| Moro・手掌把握・ATNR(非対称性緊張性頸反射) |
出生時 →
4〜6か月で消失。ATNRは2〜3か月がピーク。遺残=脳性麻痺等 |
| 吸啜・探索 |
出生時 → 3〜4か月(覚醒時)。睡眠時は7か月ごろまで |
| 足底把握反射 |
出生時 →
9〜12か月で消失(歩行開始まで残る=最も遅い) |
| Babinski |
2歳ごろ(12〜24か月)まで陽性で正常(錐体路の髄鞘化が未完成) |
| パラシュート反射 |
**8〜9か月で"出現"**し以後生涯持続 =
消失反射と向きが逆。出現しない/左右差=レッドフラッグ |
- 「5か月児でみられる反射」は足底把握とBabinskiの2つだけ(Moro・ATNRは消え、パラシュートはまだ出ない)。
- 「消失が最も遅い原始反射」は足底把握反射。上(手)は早く消え、下(足)は遅く消える。
- Moro反射の左右差=分娩麻痺(Erb麻痺)・鎖骨骨折。原始反射の"遺残"は中枢神経障害のサイン(特にATNR残存は寝返り・正中位指向を妨げる)。
- Babinskiと足底把握反射は別物(Babinski=母趾背屈、足底把握=足趾が屈曲して握る)。
5.
発達指数・スクリーニング検査
- DQ(発達指数)=発達年齢÷生活年齢×100/IQ=精神年齢÷生活年齢×100。
- 検査:遠城寺式・新版K式(DQ)・津守式・KIDS・DENVER
II(4領域)・M-CHAT(自閉スクリーニング)。
- 一度獲得した発達の退行(折れ線型)=神経変性・自閉等を疑う。
6. 低身長の評価と鑑別
★毎年頻出
- 定義:−2SD以下 または
成長率の低下(成長曲線の下方逸脱)。単発値より**軌道(パーセンタイル帯に沿うか)**で評価。
- 鑑別(一撃像)
| 病態 |
手がかり |
| GH分泌不全性低身長症 |
均整のとれた低身長・GH刺激試験で診断・GH補充 |
| SGA性低身長 |
在胎に比し小さく出生し3歳までにcatch-upしない →
GH適応 |
| Turner(45,X) |
女児・低身長+性腺形成不全・翼状頸・大動脈縮窄(→染色体検査) |
| 甲状腺機能低下(クレチン) |
新生児マススクリーニング・発達遅滞・便秘・遷延性黄疸 |
| 軟骨無形成症 |
四肢短縮型・相対的大頭・FGFR3 |
| 愛情遮断性低身長 |
環境(虐待・ネグレクト)・環境改善で回復・GH分泌一過性低下 |
7. 思春期 ★頻出(思春期早発症)
- 二次性徴の順序:女児=乳房発育(最初)→陰毛→初経(乳房発育の約2〜2.5年後)/男児=精巣腫大(最初・容積4mL以上で開始)→陰茎→陰毛→声変わり。
- 思春期早発症(中枢性=GnRH依存が多い):女児
7歳6ヶ月未満の乳房発育/10歳6ヶ月未満の初経、男児
9歳未満の精巣発育。頭蓋内病変の除外。治療=GnRHアナログ(リュープロレリン)。
- 思春期遅発症:女児13歳・男児14歳までに二次性徴なし。
8. 栄養① 母乳・人工乳・離乳
★毎年
- 母乳の利点:初乳=IgA(粘膜免疫)・感染防御・母子相互作用・アレルギー面。
- 母乳の弱点:ビタミンK↓・鉄↓(6ヶ月以降)・ビタミンD↓
→ K2投与・鉄/離乳で補う。
- 離乳(支援ガイド2019):開始5〜6ヶ月(首すわり・支え座り・食物への興味)→
完了12〜18ヶ月(形ある食物を噛みつぶし、栄養の大部分を母乳/ミルク以外から)。
- 牛乳は1歳未満に与えない(鉄欠乏・微量消化管出血=牛乳貧血)。フォローアップミルクは離乳期以降の補助。
9. 栄養② 欠乏症(一撃像)★毎年
| 欠乏 |
一撃像 |
| ビタミンK |
新生児メレナ(消化管出血・生後2〜4日)/突発性乳児ビタミンK欠乏症=頭蓋内出血(生後3週〜2ヶ月・母乳栄養児)。PT・APTT延長。予防=ケイツーシロップ「3ヶ月まで毎週法」=哺乳確立時
→ 生後1週or産科退院時(早い方)→
生後3ヶ月まで週1回(計約13回)。旧「3回法(出生時・1週・1ヶ月)」は遅発型を防ぎきれず更新(日本小児科学会2021提言)。1ヶ月健診で人工栄養主体なら以降中止可(人工乳はK強化)。便カラーカードで胆道閉鎖症を早期発見 |
| ビタミンD(くる病) |
完全母乳+日光不足。O脚・肋骨念珠・頭蓋癆、低Ca・低P・ALP↑・PTH↑、X線で骨端の杯状変化・毛羽立ち。※テタニーは「ビタミンD欠乏性低Ca血症」側の症状 |
| 鉄(鉄欠乏性貧血) |
生後6ヶ月〜2歳・母乳のみ/牛乳多飲。小球性低色素性・フェリチン低下。スプーン爪・易疲労 |
10. 乳幼児健診(法定と月齢別)
- 法定健診=1歳6ヶ月児・3歳児の2つ(母子保健法)。3-4ヶ月・9-10ヶ月は自治体事業(法定でない)。就学時健診は学校保健安全法。
- 月齢別:3-4ヶ月=首すわり・DDH(開排制限)・斜視/9-10ヶ月=パラシュート・人見知り/1歳6ヶ月=独歩・有意味語・M-CHAT/3歳=視力0.5・尿検査(蛋白/糖)・聴力。
法定健診2つの「確認項目」を年齢とセットで
| 健診 |
核になる確認項目 |
| 1歳6か月 |
独歩・有意語・指さし(共同注意)・積み木2〜3個・スプーンで自分で食べる。う蝕と栄養状態。指さしはASDスクリーニングの要(M-CHAT) |
| 3歳 |
三輪車・はさみ・自分の名前が言える・視力と聴力(家庭での事前検査)・尿検査(腎疾患スクリーニング) |
- 要精査の線:1歳6か月で有意語ゼロ(難聴/ASD/全般的発達遅滞)、独歩未獲得(DDH/脳性麻痺/神経筋疾患)。
- はさみ・三輪車・名前は3歳。1歳6か月の項目に混ぜて出す誤り選択肢が作られる。
- 法定は1歳6か月児・3歳児だけが市町村の義務(母子保健法)。制度問題としても出るので、根拠法とセットで保持する(就学時健診=学校保健安全法・3-4か月/9-10か月=自治体事業)。
- DDH(発育性股関節形成不全):女児・骨盤位・家族歴、開排制限・クリックサイン・大腿皮膚溝非対称。治療=Pavlicハーネス。
11. 頻出ピットフォール
- Kaup=乳幼児・ローレル=学童(逆にしない)。Kaupの正常値は年齢依存(adiposity
rebound)。
- 原始反射は"消失"(4-6m)/パラシュートは"出現"(8-9m)。
- 母乳栄養児はビタミンK欠乏(頭蓋内出血)と鉄欠乏に注意。
- 牛乳は1歳未満NG(牛乳貧血)。離乳完了は12-18ヶ月。
- くる病のテタニーは「低Ca血症」側の症状として分類される。
- 二次性徴の最初=女児は乳房・男児は精巣腫大(陰毛が最初ではない)。
- 愛情遮断性低身長は環境改善で回復(器質疾患と鑑別)。