腎・泌尿器 毎日確認シート
「検尿異常の鑑別」「UTIの画像検索」「陰嚢症の時間勝負」の3本柱。ネフローゼ=ステロイド、UTI=抗菌薬+画像、精巣捻転=6時間。
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毎朝ここだけ音読(5つの地雷)
- 糸球体性血尿=赤血球円柱・変形赤血球・コーラ色・蛋白尿(非糸球体=鮮紅色・凝血塊・終末時)。PSAGN=感染1-2週後・低C3(6-8週で回復)/IgA腎症=感染と"同時"の肉眼的血尿。
- HUS=O157(志賀毒素)腸炎後→溶血性貧血+血小板減少+急性腎不全の三徴。抗菌薬は毒素放出で慎重。
- 精巣捻転=挙睾筋反射消失・Prehn陰性・高位横位・突然→6時間以内に整復+固定。精巣上体炎=Prehn陽性(挙上で軽減)・抗菌薬。
- 後部尿道弁=男児・出生前から両側水腎+羊水過少(→肺低形成)・尿線微弱+充満膀胱(下部尿路閉塞最多)。VURは閉塞所見を作らない。
- RTA=正常アニオンギャップ代謝性アシドーシス。遠位1型=尿pH>5.5+腎石灰化+低K/近位2型=尿pH下げられる(Fanconi)。
- 酸塩基は"どちら側の病気か"を病名より先に固定する:Bartter・Gitelman=低K性代謝性"アルカローシス"/RTA="アシドーシス"。固定句「バーターとギッテルマンはアルカリ、RTAは酸」。※2026-08-05
設問で、pH
7.18(アシドーシス)の血ガスにBartterを誤選。細部(尿Ca・Mg・発症年齢)は言えても、この1行がないと即死する。
血ガスは「読む順序」で解く
- pHで向きを決める(アシドーシスか、アルカローシスか)
- 一次性が代謝性か呼吸性か(HCO₃⁻とPaCO₂のどちらがpHと同じ向きに動いているか)
- 代謝性アシドーシスならAGを計算する AG=Na−(Cl+HCO₃⁻)・正常12±2
- 高AGか正常AGかで原因群を割る
| 群 |
原因 |
| 高AG(酸が増えた) |
DKA/乳酸アシドーシス(敗血症・ショック・ミトコンドリア病)/有機酸血症(プロピオン酸・メチルマロン酸・イソ吉草酸)/腎不全/中毒(サリチル酸・メタノール・エチレングリコール)/飢餓ケトーシス |
| 正常AG(HCO₃⁻を失った・Clが増えた) |
下痢(腸からのHCO₃⁻喪失)/RTA/生理食塩水大量輸液/尿管S状結腸吻合 |
| 代謝性アルカローシス |
肥厚性幽門狭窄症(低Cl性・低K性+逆説的酸性尿)/嘔吐・胃液喪失/Bartter・Gitelman/利尿薬 |
固定句「pHで向きを決めて、代謝性ならAGを計算する。計算するまで選択肢を見ない」。小児で「高AG+高NH₃+低血糖」なら有機酸血症(→内分泌・代謝シートの「高NH₃の3分岐」と同じ入口)。
1. ネフローゼ症候群 ★
- 四徴=高度蛋白尿・低アルブミン・浮腫・高脂血症。小児は微小変化型90%・ステロイド反応良好。
- 典型例(血尿/高血圧なし・腎機能正常・幼児)は生検せずプレドニゾロン先行(PSL
60mg/m²/日×4週→漸減)。ステロイド抵抗性/非典型で腎生検。
- 合併症=感染(肺炎球菌・特発性細菌性腹膜炎)・血栓症・低Ca。
2. 糸球体腎炎 ★
| 疾患 |
決め手 |
| PSAGN |
先行感染1-2週後・コーラ色血尿/浮腫/高血圧・低C3(6-8週で回復)・ASO↑・予後良好(対症) |
| IgA腎症 |
感染と同時の肉眼的血尿反復・学校検尿最多・メサンギウムIgA・中等症以上は扁摘パルス |
| 紫斑病性腎炎(IgA血管炎) |
下肢紫斑+腹痛+関節痛+血尿/蛋白尿 |
| HUS |
O157後・溶血+血小板減少+急性腎不全・抗菌薬慎重・支持療法(透析) |
| Alport |
血尿+感音難聴+眼所見・IV型コラーゲン・XLD |
- 起立性(体位性)蛋白尿=早朝(臥位)陰性・日中(立位)陽性=良性(早朝第一尿で確認)。
3. UTI・VUR ★
- 起因菌=大腸菌最多。乳児は発熱のみ(不明熱で尿検査)。清潔尿(カテーテル/中間尿)培養。
- 腎盂腎炎(発熱・側腹部痛)=注射抗菌薬2-4日→経口・計10-14日。膀胱炎=経口7日。
- 画像:超音波(全例)・DMSA(瘢痕)・VCUG(VUR検出=異常/再発時)。VUR→腎瘢痕(reflux
nephropathy)→高血圧・腎不全。
4. 急性陰嚢症(時間勝負)★
| 疾患 |
特徴 |
対応 |
| 精巣捻転 |
突然・挙睾筋反射消失・Prehn陰性・高位横位 |
6時間以内に整復+精巣固定(緊急手術) |
| 精巣垂捻転 |
思春期前・blue dot sign・疼痛軽〜中 |
保存的 |
| 精巣上体炎 |
発熱・排尿痛・Prehn陽性(挙上で軽減) |
抗菌薬 |
| 鼠径ヘルニア嵌頓 |
腫瘤・嘔吐 |
整復→手術 |
- 停留精巣=1歳で自然下降なければ手術(生後6ヶ月〜1歳半)。不妊・悪性化リスク。
5. 閉塞・尿細管電解質 ★
- 後部尿道弁=男児・出生前両側水腎+羊水過少→肺低形成・尿線微弱+充満膀胱。
- RTA(正常AG代謝性アシドーシス):遠位1型=尿pH>5.5+腎石灰化+低K・成長障害/近位2型=尿pH<5.5可・Fanconi。
- Bartter(乳児・ループ様・低K性アルカローシス・高Ca尿→腎石灰化)/Gitelman(年長・サイアザイド様・低K性アルカローシス+低Mg+低Ca尿・腎石灰化なし)。
尿細管疾患は「どの部位が壊れたか」で全部整理できる(2026-08-07
新設)
薬の副作用がそのまま病態になる。
ループ利尿薬=Bartter/サイアザイド=Gitelman/アセタゾラミド=近位RTA。
| 疾患 |
部位 |
酸塩基 |
K |
血圧 |
決め手 |
| Bartter |
ヘンレ係蹄上行脚(ループ様) |
アルカローシス |
低 |
正常〜低 |
新生児〜乳児発症・高Ca尿・腎石灰化・羊水過多 |
| Gitelman |
遠位尿細管(サイアザイド様) |
アルカローシス |
低 |
正常〜低 |
学童以降・低Mg・低Ca尿・腎石灰化なし・テタニー/筋けいれん |
| 偽Bartter |
なし(後天性) |
アルカローシス |
低 |
正常〜低 |
誘因がある=下剤/利尿薬乱用・反復嘔吐・神経性やせ症・嚢胞性線維症 |
| Liddle |
集合管ENaC(活性化) |
アルカローシス |
低 |
高血圧 |
アルドステロン低値なのに高血圧・家族歴 |
| 遠位(I型)RTA |
集合管でH⁺を出せない |
アシドーシス(AG正常) |
低 |
正常 |
尿pHが5.5未満に下がらない・腎石灰化 |
| 近位(II型)RTA |
近位でHCO₃⁻を戻せない |
アシドーシス(AG正常) |
低 |
正常 |
尿pHは下げられる・Fanconi症候群・腎石灰化なし |
| IV型RTA |
アルドステロン欠乏/抵抗 |
アシドーシス(AG正常) |
高 |
正常 |
唯一の高K・小児では閉塞性尿路疾患が最多 |
| Fanconi症候群 |
近位(全部漏れる) |
アシドーシス |
低 |
正常 |
尿糖+β₂MG高値+%TRP低下・低P性くる病・成長障害 |
| 腎性尿崩症 |
集合管がADHに無反応 |
— |
— |
正常 |
高Na+低張尿・DDAVP無効・X連鎖潜性(AVPR2) |
3ステップで割る
- 酸塩基はどちら? ──
アルカローシス=Bartter/Gitelman/偽Bartter/Liddle/アシドーシス=RTA/Fanconi
- 血圧は? ──
アルカローシス群で高血圧ならLiddle・原発性アルドステロン症、正常〜低ならBartter/Gitelman/偽Bartter
- 発症時期と誘因は? ──
新生児〜乳児=Bartter/学童以降+低Mg=Gitelman/誘因あり=偽Bartter
⚠️ 偽Bartterの見抜き方(2026-08-07
A-91で失点):「症状が出るまで成育歴に異常なし」=先天性を否定する一文。真のBartterは新生児期から症状が出る。思春期女子+痩せ+下剤/嘔吐
→ 神経性やせ症を背景とした偽Bartterを考える。 ⚠️
尿中Clで原因が絞れる:自己誘発性嘔吐は尿Cl低値(<10〜20)/利尿薬乱用・Bartter・Gitelmanは尿Cl高値。
⚠️
Gitelmanの治療はMg補充が必須。低Mgを直さないと低Kも低Caも治らない。
5-2.
電解質【2026-08-07 新設・当日ドリル40%の最弱領域】
①
低Na血症は3段階で読む(順序を飛ばさない)
① 血漿浸透圧(本当に低張か)→ ② 体液量(volume status)→ ③
尿Naと尿浸透圧
- 高張(>295)=高血糖・マンニトールによる見かけの低Na。補正Na=実測Na+1.6×(血糖−100)/100。式より「高血糖なら低Naは見かけ上。血糖を下げれば戻る」の概念を持つ
- 等張=偽性低Na(高脂血症・高蛋白血症)
- 低張=真の低Na → ②へ
| volume |
尿Na |
病態 |
| 脱水 |
<20 |
腎外性喪失(下痢・嘔吐) |
| 脱水 |
>20 |
腎性喪失(利尿薬・副腎不全・CSWS) |
| 正常 |
>20+尿濃縮 |
SIADH |
| 溢水 |
— |
心不全・肝硬変・ネフローゼ |
② SIADH vs
CSWS ── 検査値では割れない。決め手は体液量
- 検査値はどちらも同じ(低Na・尿Na高値・尿浸透圧高値・血漿浸透圧低下)
- SIADH=体液量正常〜増加(水を溜めている)/CSWS=脱水(Naと水を失っている)
- 治療が正反対:SIADH=水制限/CSWS=Naと水の補充。CSWSに水制限は致命的
- 補助指標:血清尿酸(SIADHで低値・CSWSで正常〜高値)、BUN/Cr比、体重の推移
- どちらも**中枢神経疾患(SAH・外傷・腫瘍・術後)**で起こる →
必ず体重と体液量を見る
③ 補正速度 ──
方向を対で暗唱する
低Naを上げすぎると髄鞘が壊れる(浸透圧性脱髄)/高Naを下げすぎると脳が腫れる(脳浮腫)
- 機序:水は数分で動くが、脳細胞の浸透圧物質は出し入れに24〜48時間かかる。この速度差がすべて
- 慢性低Na=8〜10 mEq/L/日以下(高リスクは6〜8)
- 高Na=0.5
mEq/L/時未満、1日10〜12以内、48〜72時間かけて
- ⚠️
例外:急性(<48時間)で有症状(けいれん・意識障害)なら3%食塩水で速やかに4〜6
mEq/L上げる。脳がまだ適応していないので縮まない
- 高Na性脱水でも、循環動態が不安定ならまず等張液(生食)でボーラス。自由水はその後
④
Kの向きは「機序」で束ねる
★★★(2026-08-07に2回連続で反転した最重要項目)
高K=壊れた・出せない・アルドステロンが足りない
- 細胞が壊れる:横紋筋融解・腫瘍崩壊・溶血・熱傷・虚血再灌流
- アルドステロンが足りない/効かない:原発性副腎不全(Addison・CAH塩喪失型)・IV型RTA・偽性低アルドステロン症・K保持性利尿薬・ACE阻害薬/ARB
- 腎不全/アシドーシス/偽性高K(溶血採血・駆血・血小板増多)=元気な児の高Kはまず再検
低K=漏れた・移動した
- 消化管:下痢(便から直接)/嘔吐(吐物ではなく腎から!)
- 腎:利尿薬・Bartter/Gitelman・原発性アルドステロン症・Cushing・Liddle・I/II型RTA・低Mg
- 細胞内へ移動:アルカローシス・インスリン・β₂刺激薬・再栄養症候群
⚠️
嘔吐の低Kは腎から:アルカローシス→遠位に届くHCO₃⁻増加→管腔内が陰性→K分泌促進、+脱水でアルドステロン亢進。胃液のK濃度は5〜10
mEq/Lしかない。だから治療は生食で体液量とClを補正してアルドステロンの駆動を止める
⚠️
原発性副腎不全は高K、二次性(下垂体性)は高Kにならない(アルドステロンはレニン系で保たれる)。色素沈着も原発性のみ(ACTH高値)
高K血症の治療は3層:①グルコン酸Ca(心筋膜の安定化・Kは下がらない)→
②グルコース+インスリン/β₂刺激薬/重炭酸(細胞内へ)→
③陽イオン交換樹脂・利尿薬・透析(体外へ)。②で終わらせない
⑤ 難治性の低Ca・低KはMgを疑う
「補充しても治らない低Ca・低Kを見たらMgを測る」
- 低Mgは①PTH分泌そのものを止め
②PTHへの標的臓器抵抗性を生じる →
Mgを直さないとCaは戻らない
- 原因:シスプラチン・アミノグリコシド・アムホテリシンB・PPI長期・カルシニューリン阻害薬・Gitelman症候群・下痢/短腸症候群
⑥ 尿崩症の順序
飲水量と尿量 → 尿浸透圧(低張尿)→ 血漿浸透圧・Na →
水制限試験 → バソプレシン負荷(病型確定)→
頭部MRI(中枢性なら原因検索)
- ⚠️
血漿浸透圧が高いのに尿が薄ければ、水制限試験は不要(自然の負荷試験が成立済み。乳児では危険)→
次はバソプレシン負荷
- DDAVPで尿浸透圧上昇=中枢性/上昇しない=腎性
- 先天性腎性=AVPR2のX連鎖潜性が約90%(母方の男性に多飲の家族歴)/家族性中枢性=常染色体顕性。遺伝形式が逆
- 腎性の治療=サイアザイド+インドメタシン+低Na低蛋白食+十分な水分。DDAVPは無効
- 乳児は多尿として現れない:原因不明の反復発熱・易刺激性・嘔吐・便秘・体重増加不良・繰り返す脱水
- 中枢性と確定したら必ずMRI:後葉T1高信号の消失・下垂体柄の肥厚(germinoma・LCH)。特発性と診断しても定期的な再評価とAFP/hCGのフォロー
6. 検尿・夜尿
- 学校検尿=早朝尿(蛋白/潜血/糖)→陽性で3回法→精密。発見最多=IgA腎症、次いで体位性蛋白尿。
- 夜尿症=5歳以降の夜間遺尿。多尿型=デスモプレシン/膀胱型=アラーム・抗コリン薬。二次性(糖尿病・尿崩症・尿路奇形・脊髄)を除外。
総括(1文)
糸球体性血尿(円柱/変形赤血球/コーラ色)はPSAGN(感染1-2週後・低C3)とIgA腎症(同時)で割る。HUS=O157後三徴。精巣捻転=Prehn陰性・6時間。後部尿道弁=男児・羊水過少。RTA=正常AG(遠位1型は尿pH>5.5+腎石灰化)。ネフローゼ=微小変化型・ステロイド。